クラウドクレジットの新ファンド紹介 レポート目当てで投資します
ども、こんにちは。
前回の記事で紹介した通り、クラウドクレジットの新しいファンドが募集開始しました。で、今朝見たら「欧州3ヶ国消費者ローン・ファンド」は3つともすでに満額成立しています。。。早いなー。
現時点で投資できるのは「イタリア消費者ローン・ファンド」だけですが、そのうちまた募集があるでしょうから、それぞれのファンドについて知っておきましょう。
イタリア消費者ローン・ファンド
イタリア消費者ローン・ファンド1号:商品情報|クラウドクレジット
リスク・リターンが最も小さいものです。「消費者ローンの貸付を行うにあたり、貸し倒れがゼロに限りなく近づくことを目指しています」とのこと。
イタリアでは2008年のリーマンショックに続く欧州危機以来、年を追うごとに強まる国際銀行規制の影響もあり、伝統的な銀行部門は継続的に貸し出しの縮小を余儀なくされており、信用情報に問題のない個人、中小企業までもが借り入れを行うことが難しくなってきています。
ソーシャルレンディングというと銀行が貸せない層の個人、中小企業に対して貸付を行うというイメージがまだ強いかと思いますが、伝統的な銀行部門の縮小にによって旧来であれば借入ができたのに現在借り入れができなくなっている方々に貸付を行うことで彼らは再びクレジットへのアクセスを得ることができ、投資家の方も信用力のある人々に貸付を行うことが可能になってきています。
新ファンドのリスクとリターンの関係につきまして|クラウドクレジット
リーマンショック以降、既存の金融機関の負えるリスクの範囲が縮小してしまったというのは、現代を理解するうえで重要な要素ですね。これによって生まれてしまった隙間を埋めるために、リスクを背負う個人投資家と、彼らから集めた資金で貸し付けを行うソーシャルレンディング事業者が現れ、金融の一角を担いつつあるようです。
イタリアでの提携会社はAgata S.p.A.(アガタ エス・ピー・エー)という会社だそうです。
本ファンドは、イタリアで運用されているPrestiamociというP2Pレンディングプラットフォームが取り扱う貸付を投資対象としており、クラウドクレジットはその運用会社であるAgata S.p.A.と提携を行っております。
Agataは2009年に設立されたイタリア銀行の認可を持つ金融機関で、イタリアのミラノに本社を構えております。2014年には現在の経営体制に移行するに伴い、新たにより厳格なクレジットリスク評価モデルを導入しております。
また、2015年1月末現在、フルタイムの従業員が7名在籍し、資本金は107.3万ユーロとなっております。
イタリア消費者ローン・ファンド1号:商品情報|クラウドクレジット
要するにこのファンドは、アメリカのレンディングクラブのような現地のP2Pレンディングに、日本からクラウドクレジットを通じて投資するもののようです。
「ペルー・小口債務者支援プロジェクト」では、レポートに提携先であるKOBRANZAS S.A.C.の紹介がありましたから、「イタリア消費者ローン・ファンド」でもAgata S.p.A.の紹介がありそうです。信用情報をどのように評価しているのか、興味があります。
運用期間は2018年4月末までの約3年間、期待利回りは5.3%です。
期待利回り5.3%というと、クラウドバンクの「中小企業支援型ローンファンド(6か月)」と同水準です。立ち上げたばかりの事業で、運用期間も長く、為替リスクもあるわけですから、ちょっとリスクの割には物足りないリターンかもしれません。
先述の「消費者ローンの貸付を行うにあたり、貸し倒れがゼロに限りなく近づくことを目指しています」が実現されて妥当な水準でしょうね。クラウドバンクよりも借り手が分散されるでしょうから、為替変動以外では大けがはしにくいでしょうか。
最低出資額が5万円ですが、これは
イタリアで消費者ローンの貸付を行うファンドは、より貸し倒れる可能性の低い資金需要者に対して貸付を行っていくため、これからソーシャルレンディングへの投資を初めて資産運用の幅を広げようとしている方にもより幅広くご出資を頂ければと考え、最低出資金額を、当社がいままでのファンドにおいて設定しておりました10万円の半額の5万円とさせて頂いています。
新ファンドのリスクとリターンの関係につきまして|クラウドクレジット
だそうです。確かに出資額が5万円か10万円かでは、かなり心理的なハードルが違います。
欧州3ヶ国消費者ローン・ファンド
こちらはスペイン・フィンランド・エストニアの3か国が対象です。
先述の通り、すでに満額成立しています。
運用期間はイタリアと同じく2018年4月末までの約3年間ですが、期待利回りは8.1%(リスク低減型)、10.9%(両方追求型)、14.7%(リターン追求型)です。
このような高い利回りを目指せるのは、高い上限金利によるもののようです。
フィンランド、エストニアの上限金利はそれぞれ50%、70%であり、Crowdcredit Estonia OÜは3か国(リスク追求)においては主にこれらの2か国に重点を置いて貸付を行います
新ファンドのリスクとリターンの関係につきまして|クラウドクレジット
高いですね。日本だと上限金利は20%ですから、2.5~3.5倍です。
新興国でのマイクロファイナンスだと、元手があれば事業が興せるので高い金利にも納得がいきますが、消費者ローンとしてこの金利で借りて、何に使うのか、どう返済するのか、気になります。フィンランドやエストニアでは、年次の物価や所得の上昇率が大きいのかもしれません。
この消費者ローン・ファンドですが、提携先の現地事業者がポイントのようです。
より貸し倒れリスクの高い層に対して貸付を行っていくということで、当社はisePankur AS(イシャーパンクール・アーエス)というエストニアに本拠をおき統計的な信用スコアリングに強みを持つソーシャルレンディング業者と提携を行うこととしました。
isePankur ASはBondoraというソーシャルレンディング・プラットフォームで欧州の個人投資家からもお金を募っています。
isePankur ASは借り入れの申し込みをオンライン上で行ってきた資金需要者に、独自の信用スコアリング手法を用いてスコア付けを行います。
信用スコアリングのプロセスはスペイン、フィンランドおよびエストニアにおいて国ごとに別のものを構築して用いており、国ごとの特性に合わせるということを行っています。
信用スコアリングの詳細は消費者ローンを行うソーシャルレンディング業者にとって競争力の源泉となるところですので公表させて頂けない部分も多いのですが、日本ではちょうどゼロ金利時代に突入してしまったことで残念ながら普及が阻まれてしまったものの世界では2000年代に入ってどんどん広がっていった統計的手法を用いた信用スコアリングについて、別のブログで別途ご説明させて頂きます。
新ファンドのリスクとリターンの関係につきまして|クラウドクレジット
ところで、消費者ローンの使途ってどういうものでしょうかね?日本だと貯蓄の習慣があるので、「冠婚葬祭あるいは病気や事故等で急にまとまった現金が必要だけどすぐに用意できない」みたいな場合ぐらいしか思いつきません。アメリカでサブプライム・ローンが問題となったころは、借りつなぎで収入以上の生活をしていた人が多くいたそうですが。
借りたお金を使って事業で稼ぐわけではないので、「ペルー・小口債務者支援プロジェクト」よりも実はリスクが高いのではないかと若干感じています。
ということで、信用情報の評価や、消費者ローンの使途など、気になることが色々あります。クラウドクレジットは投資家向けに毎月レポートを発行するので、投資をすればその辺りのことが分かってきそうです。
まだ募集しているのは「イタリア消費者ローン・ファンド」だけですので、こちらにちょっと投資してみたいと思います。「欧州3ヶ国消費者ローン・ファンド」の方が気にはなりますが、次の募集を待ちたいと思います。
しかしレポート目当てにお金を出す投資家というのは変な人種ですね。。。
ではでは。