投資家になりたかったサラリーマンの資産運用日記

投資家になりたかった製造業勤務のサラリーマンが、投資や生活の色々なことを気ままに書きつづります

予想以上に強い内容!?「コーポレートガバナンス・コード原案」を読んでみた

ども、こんにちは。

今日は月食があるそうですね。でも残念ながら全国的に天気が良くないようです。

夜桜と月食を同時に見れるのは貴重な機会ですが、ちょっと期待できないみたいです。

 

さて、3月5日に「コーポレートガバナンス・コード原案」が公開されました。

「スチュワードシップ・コード」と並んで、企業活動を大きく変える政策として注目を集めています。

私も遅ればせながら読んでみましたが、かなり強い内容であるという印象でした。

気になるところをピックアップしてみますね。

 

コーポレートガバナンス・コード原案は、金融庁のWEBページよりダウンロードできます。(別紙4)が本体となります。

コーポレートガバナンス・コード原案〜会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上のために〜の確定について:金融庁

 

目指すは「攻めのガバナンス」?コーポレートガバナンス・コードの目的

2ページに「本コード(原案)の目的」が書かれています。

「コーポレートガバナンス」と聞くと、会社の不祥事を取り締まるような縛りをイメージしがちです。しかし、面白いのは、このコードの目指すところを「攻めのガバナンス」と表現しているところです。

本コード(原案)は、こうした責務に関する説明責任を果たすことを含
め会社の意思決定の透明性・公正性を担保しつつ、これを前提とした会社の迅速・果断な意思決定を促すことを通じて、いわば「攻めのガバナンス」の実現を目指すものである。

(中略)

会社においてガバナンスに関する機能が十分に働かないような状況が生じれば、経営の意思決定過程の合理性が確保されなくなり、経営陣が、結果責任を問われることを懸念して、自ずとリスク回避的な方向に偏るおそれもある。こうした状況の発生こそが会社としての果断な意思決定や事業活動に対する阻害要因となるものであり、本コード(原案)では、会社に対してガバナンスに関する適切な規律を求めることにより、経営陣をこうした制約から解放し、健全な企業家精神を発揮しつつ経営手腕を振るえるような環境を整えることを狙いとしている。

守るべき規律が明確となっていた方がむしろ経営者は積極的に動ける、という主張のようです。例えば「誰それの顔色を窺わないと…」みたいな不合理な形での保身を防ぐといったところでしょうか。

この「攻めのガバナンス」の実現のために、19ページの基本原則4に「(2) 経営陣幹部による適切なリスクテイクを支える環境整備を行うこと」が記述されています。

 

また、スチュワードシップ・コードとの関連性も書かれています。

本コード(原案)は、市場における短期主義的な投資行動の強まりを懸念する声が聞かれる中、中長期の投資を促す効果をもたらすことをも期待している。市場においてコーポレートガバナンスの改善を最も強く期待しているのは、通常、ガバナンスの改善が実を結ぶまで待つことができる中長期保有の株主であり、こうした株主は、市場の短期主義化が懸念される昨今においても、会社にとって重要なパートナーとなり得る存在である。本コード(原案)は、会社が、各原則の趣旨・精神を踏まえ、自らのガバナンス上の課題の有無を検討し、自律的に対応することを求めるものであるが、このような会社の取組みは、スチュワードシップ・コードに基づくこうした株主(機関投資家)と会社との間の建設的な「目的を持った対話」によって、更なる充実を図ることが可能である。

「目的を持った対話」については、かつて話題になった村上ファンドのような、企業の資産を狙うハゲタカファンドの台頭を不安視していましたが、このコードはあくまで中長期的な企業の成長を重視するものであることが分かります。

 

従業員ほかステークホルダーあっての企業 ESGも重視

13ページ以降の「第2章 株主以外のステークホルダーとの適切な協働」では、株主だけではなく、従業員や地域社会を尊重することを明記しています。

【基本原則2】

上場会社は、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の創出は、従業員、顧客、取引先、債権者、地域社会をはじめとする様々なステークホルダーによるリソースの提供や貢献の結果であることを十分に認識し、これらのステークホルダーとの適切な協働に努めるべきである。
取締役会・経営陣は、これらのステークホルダーの権利・立場や健全な事業活動倫理を尊重する企業文化・風土の醸成に向けてリーダーシップを発揮すべきである。

 「従業員」を先頭に持ってきていたのは素晴らしい!

さらには「地域社会」も含めてステークホルダーとし、その貢献の上で会社が成立しているという記述は、非常に強いメッセージに感じました。

 

この基本原則の「考え方」でさらに、次のように補っています。

上場会社は、自らの持続的な成長と中長期的な企業価値の創出を達成す
るためには、これらのステークホルダーとの適切な協働が不可欠であることを十分に認識すべきである。また、近時のグローバルな社会・環境問題等に対する関心の高まりを踏まえれば、いわゆるESG(環境、社会、統治)問題への積極的・能動的な対応をこれらに含めることも考えられる
上場会社が、こうした認識を踏まえて適切な対応を行うことは、社会・経済全体に利益を及ぼすとともに、その結果として、会社自身にも更に利益がもたらされる、という好循環の実現に資するものである。

企業のESGに対する取り組みを重視する投資、ESG投資なんかは、最近注目を集めていますね。

newsbiz.yahoo.co.jp

 

やや古いですが、東証の記事や銘柄選定も参考になります。

plusyou.tse.or.jp

 

ESGへの取り組みは外部からの評価を獲得するという面に目が行きがちですが、「社会・経済全体に利益を及ぼすとともに、その結果として、会社自身にも更に利益がもたらされる」という成長モデルを金融庁から企業に示したことは、とても大きな意義があると思います。

 

突きつけられる「コンプライ・オア・エクスプレイン」 企業も変わらざるを得ない!?

極めつけは、上場企業に公共性を強く求める内容となった「コーポレートガバナンス・コード」ですが、これが「コンプライ・オア・エクスプレイン」という形で企業に突きつけられることです。

4ページに次のような記述があります。

また、本コード(原案)は、法令とは異なり法的拘束力を有する規範ではなく、その実施に当たっては、いわゆる「コンプライ・オア・エクスプレイン」(原則を実施するか、実施しない場合には、その理由を説明するか)の手法を採用している。すなわち、本コード(原案)の各原則(基本原則・原則・補充原則)の中に、自らの個別事情に照らして実施することが適切でないと考える原則があれば、それを「実施しない理由」を十分に説明することにより、一部の原則を実施しないことも想定している。

(中略)

会社としては、当然のことながら、「実施しない理由」の説明を行う際には、実施しない原則に係る自らの対応について、株主等のステークホルダーの理解が十分に得られるよう工夫すべきであり、「ひな型」的な表現により表層的な説明に終始することは「コンプライ・オア・エクスプレイン」の趣旨に反するものである。

キツイ表現をすれば、

「踏み絵」

ですね。

この「コーポレートガバナンス・コード」に対する態度を明らかにすること、実施しないのであれば十分な説明をすることが求められます。

もしこれが法的拘束力をもつものであれば、どの企業も(少なくとも表面的には)従うことになりますが、「コンプライ・オア・エクスプレイン」となれば、企業ごとに対応が異なることになり、なおかつそれが衆目にさらされることとなります。対応次第では、一気に信用を失うことになるでしょう。

金融庁、ドSです。

 

これによって上場企業は

  • もともと十分に統制されており、難なく対応する企業
  • 統制が不十分であったが、コードに対応することで変化していく企業
  • 変わることができずに淘汰されていく企業

に分かれていきそうです。大変大きなインパクトとなりそうですね。

 

以上、「コーポレートガバナンス・コード原案」を見てきましたが、私はこれによってポジティブな方向に変化していく企業が多数出てくるのではないかと期待しております。

コードで示されているのはあくまで「あるべき姿」ですので、サラリーマンとして、投資家として、役割を果たしていきたいところです。

 

ではでは。

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