投資家になりたかったサラリーマンの資産運用日記

投資家になりたかった製造業勤務のサラリーマンが、投資や生活の色々なことを気ままに書きつづります

書籍「ふるさと投資のすべて」 セキュリテで投資して新しい金融を後押ししよう!

ども、こんにちは。

今日は本の紹介です。 

ふるさと投資のすべて 金融システムを変える地域活性化小口投資入門」という本を読みました。

 

ふるさと投資のすべて-金融システムを変える地域活性化小口投資入門-
赤井 厚雄 小松 真実 松尾 順介
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国内に資金はあるがそれが銀行から実体経済に必ずしも十分に流入しないという現象が顕在化し、今日ではそのことが日本経済における単純な緩和政策だけでは解決できない金融システムの大きな課題として認識されるようになってきたのである。

背景には、2000年代前半に行われた、不良債権処理政策があります。

それまで資金供給を担ってきた長期信用銀行が消滅し、また政府系金融機関には制約が課され、国内の金融システムの担い手はメガバンクや地方銀行などの商業銀行が中心となりました。しかしこれらの金融機関は預金のような短期資金に依存しているため、長期資金の供給には向いていないのです。

しばらくは海外からのリスクマネーの流入がありましたが、金融危機により国際的な金融活動の縮小や規制強化で、長期資金の供給不足という問題が顕在化しました。

国内商業銀行は、与えられた資金調達上の制約条件や国際的な規制の前提条件のもとでは精いっぱいの仕事をしているが、そこから提供される商品(資金)の性格が、実体経済を支える事業者側からみてそのニーズにあった十分魅力的なものになりえていない、銀行側からすると「資金需要がみえない」という現象が資金のミスマッチ問題として現れてきているのである。

 

この問題を解決するために、「銀行部門と市場部門が補完的に機能することで、持続的な経済成長に資するとともに、外的なショックに対する耐性を持つシステム」すなわち「複線的金融システム」を構築することが重要です。

そこで、諸外国と比べて債務が小さく健全な、家計セクターの金融資産を活用できる「ふるさと投資(地域活性化小口投資)」が注目され、内閣府が推進するなど官民連携の取り組みが進められています。

 

「ふるさと投資」の仕組みについて、より深く知ろう

「第2章 不動産・インフラ分野における取組みと方向性」については割愛します。

 

第3章 ふるさと投資(地域活性化小口投資)の意義と今後の方向性」では、ふるさと投資のメリットや課題が書かれています。

セキュリテファンにとってはおなじみの内容となりますが、ふるさと投資の最大の特徴は

金融機関のバランスシートを経由しない個人向けの小口金融商品として、個人の家計金融資産に存する「銀行などの金融機関と異なるリスク許容度特性」と「個人の志」を生かすことができる新しい資金供給チャネルであるということができる。

でしょう。

一方でまだ新しい仕組みであるがゆえに、税制面で金融商品として扱われていないことや、投資家保護のための規制、地域活性化にどう役立ったかといった社会的なリターンの測定・評価などが課題です。

また、被災地で倒壊した酒蔵の再建のために原材料と建屋が必要、といった複合的なニーズに対応するため、「事業と工場設備などの施設や不動産の組み合わせ」に出資できるスキームが求められています。

(第2章で不動産が取り上げられていることとも関わっている)

 

第4章 一般社団法人第二種金融商品取引業協会の今後の取組み」では、ふるさと投資の際に締結する匿名組合契約と、業界団体(自主規制機関)である二種業協会について書かれています。

セキュリテで出資しようとすると、非常に長い契約書面の確認が求められます。匿名組合契約についてより深く知っておいて損はないでしょう。

 

第5章 ふるさと投資の事例」では、ケーススタディとしてセキュリテのファンドがいくつか紹介されています。

出資者の分布や購入動機などの統計なんかはとても興味深いです。

 

世界的なDBL投資の流れ 日本にも波及の予感

第6章 米国のダブル・ボトムライン投資ファンド」は大変興味深い内容です。

ダブル・ボトムライン(Double Bottom Line, DBL)投資とは、二つの投資目標を設定した投資です。一つはもちろん、投資家に金銭面でのリターンを提供すること(ファースト・ボトムライン)、そしてもうひとつは、地域社会や環境面での貢献(セカンド・ボトムライン)です。

ふるさと投資もDBL投資と言えますね。

米国では、低所得地域における地域活性化を目的としたDBL投資ファンドが拡大しているそうです。

 

この章の後半に、セカンド・ボトムラインの達成度を評価する際に用いられる、社会的投資収益率(SROI)について触れられています。

 SROI=貨幣価値換算の社会的価値÷投入費用

社会的価値をいかに貨幣価値に換算するかがポイントとなりますが、イギリスなどでは、第三者的な立場でSROI分析を行う中間組織もあるそうです。

日本でもNPOなどがこのSROIについて注目し始めています。

社会的投資回収率(SROI)という社会性の計量評価手法の導入によりわかったこと。|若者と社会をつなぐ支援NPO/ 育て上げネット理事長工藤啓のBlog

 

また、このSROIの考え方をベースにした、ソーシャルインパクト・ボンドも発行されており、日本でも導入が期待されています。

財政赤字解消で儲ける仕組みとは!?@NHKEテレ「ニッポンのジレンマ」にて - ”さいますみ/崔真淑”のオイコノミクス

 

このように、欧米で発展しつつある、社会貢献も目的としたDBL投資やそれを支える仕組みは、日本にも波及してきそうな予感ですね。

 

さて、「ふるさと投資のすべて」を紹介してきましたが、専門的な内容で、とても勉強になります。

また、セキュリテのファンドに出資するのは、楽しくてリターンも得られるだけでなく、今後必要となってくる新しい金融の仕組みの普及を後押しできるという、もうひとつのメリットがあることが確認できました。

セキュリテをはじめ、ふるさと投資にはこれからも期待ですね。

www.securite.jp

 

ではでは。

 

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